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シアター風姿花伝プロミシング・カンパニー特別企画に乗じ、一ヶ月ロングラン上演。現代口語演劇VSつかこうへい、二つの演技スタイルを同居させ、無為に生きる現代の若者たちの内面を描き出した。
“グラスフィッシュという魚がいて、透明なその魚を、アクアリウムに飼っているのね。
直射日光はダメだから、夕方、日が沈む直前の、一番赤い西日がさす頃に、すこしだけカーテンを開けてやる。そうすると。水槽も、水も、グラスフィッシュも、淡いオレンジ色にきらきらする。
夜が来ると魚たちは、蛍光灯に照らされて、青白く止まっている。魚は、浮いたまま眠るの。”
東京都の外れにある、とあるシェアハウス物件。数名の男女が、ほぼ全く、互いに交流を持たず暮らしていた。使う者のないリビング・ルームには、たくさんの熱帯魚と、ワニと鳥が飼われている。
新入居者の歓迎会の日。ふとっちょとガリの刑事二人が部屋を訪れ、静かに警察手帳を見せた。先日起こった殺人事件の、犯人を探しています。部屋にはとても美しい、アクアリウムが置かれている。赤い西日に貫かれて、オレンジ色にきらきらと光っている。住人の一人が、ふと気づく。私たちの共通点。もう一人が思い出す。17年前に起きた、14歳の殺人事件。もう一人は考え続ける。逃げ出した鳥とワニの行方を。
今を生きる僕たち私たちは、何にのっとって生きていこう? キレる14歳、あるいはキレる17歳、あるいはもっとストレートに酒鬼薔薇世代と呼ばれた僕が改めて問い直す、「おれたち一体、何だっけ!?」ものがたり。
新作『アクアリウム』について、作者の言葉
僕の生まれた1982年は、酒鬼薔薇聖斗や秋葉原通り魔事件など猟奇・連続殺人事件の犯人を大量に生んだ呪われた年で、「キレる14才」とか「キレる17才」なんて呼び名で、散々マスコミや教師たちにいじられて育ちました。オウム事件やエヴァブームなどに思春期を直撃されて育ち、いわゆるヒキコモリやニートの発祥も僕ら世代の前後から始まりました。
この世代って、一体どういうことなのかしら? というクエスチョンから出発して、現代を生きる若者の空気感を、とあるシェアハウスに暮らす若者たちと、彼らの飼っているワニと鳥と魚たちを通じて描いたのがこの作品です。
今こそ問い直したい。これからの時代を、どうやって生きていこう? 現代人を静かに包み込んでいる閉塞感と気だるい絶望について、明るく描いた作品です。是非、劇場までこの景色を観に来て下さい。
1982年生まれ。作家・演出家・翻訳家。日本劇作家協会・事業委員。日英の大学にて演劇学を学んだ後、劇団を旗揚げ。「斬新な手法と古典的な素養の幸せな合体」(永井愛)と評された、ポップでロックで文学的な創作スタイルで、脚本・演出ともに幅広く評価を受けている。
2013年には小田島雄志翻訳戯曲賞、文化庁芸術祭・優秀賞をダブル受賞し、演劇界に改めてその存在感を示した。
近年の代表作に、木場勝己・石丸幹二らベテラン俳優とのガチンコ2人芝居に挑んだ『最後の精神分析』(日暮里d-倉庫)、360℃完全円形の舞台空間を演出し切った『完全版・人間失格』(青山円形劇場)、人気グループNEWS増田貴久を主演に演出した『ストレンジ・フルーツ』(東京グローブ座)、20世紀最大の哲学者の思想と葛藤を描くことに挑んだTheatre des Annales『従軍中のウィトゲンシュタイン(略)』(こまばアゴラ劇場)など。
口コミ評判リンク
Togetter – Twitter感想まとめ
CoRich 舞台芸術!『アクアリウム』観てきた!
クレジット
作・演出:谷賢一(DULL-COLORED POP)
出演:東谷英人、大原研二、中村梨那、堀奈津美、百花亜希、若林えり(以上DULL-COLORED POP)、一色洋平、中林舞、中間統彦、渡邊亮
舞台監督:鈴木拓・武藤祥平 美術:土岐研一 照明:松本大介 衣裳:chie* 舞台協力:株式会社STAGE DOCTOR 舞台監督助手:竹井祐樹 演出助手:元田暁子・塚越健一(DULL-COLORED POP)
宣伝美術:西野正将 宣伝写真:堀奈津美(DULL-COLORED POP・*rism) 稽古場付記者:稲富裕介 制作:福本悠美(DULL-COLORED POP)
タイムテーブルと会場アクセス
シアター風姿花伝プロミシング・カンパニー特別企画 一ヶ月ロングラン上演
タイムテーブル: 2013/12/5(木)~12/31(火)
. 5(木) 6(金) 7(土) 8(日)※プレビュー
. 13:00 15:00
. 19:30 19:30 18:00 ★PARTY★
9(月) 10(火) 11(水) 12(木) 13(金) 14(土) 15(日)
休演日 14:00 13:00 15:00
19:30 19:30 19:30 19:30 18:00
16(月) 17(火) 18(水) 19(木) 20(金) 21(土) 22(日)
休演日 14:00 13:00 15:00
19:30 19:30 19:30 19:30 18:00 ★体験WS★
23(月) 24(火) 25(水) 26(木) 27(金) 28(土) 29(日)
13:00 13:00 休演日 14:00 14:00 14:00 15:00
18:00 18:00 19:30 ★一色WS★19:30 ★忘年会★
30(月) 31(火)
13:00
19:30 ★年越し★
公演期間中は、『アクアリウム』の世界にもう1m深く潜れる、様々なイベントを開催中です。ぜひお気軽にお越し下さいませ。
→詳細はこちらから!
「開幕パーティ」
12/8(日)19:00~
「アクアリウム体験ワークショップ」
12/15(日)・22(日)いずれも19:00~
「クリスマス・パーティー」
12/24夜は、終演後クリスマスイベントあり。
「一色洋平WS・体の把握とメンテナンス」
12/27日(金)14:00の回、修了後に開催。
忘年会
12/29(日)19:00~
年越しイベント
12/31(火)17:00~。
PC・携帯『アクアリウム』チケット予約フォーム(東京公演/24時間対応)
すてきなゲスト出演者たち
出演期間 お名前・所属 大袈裟な紹介
12/05(木)~11(水) 清水那保
(元DULL-COLORED POP) 一度は劇団を追放された怪物女優が一週間限りのカムバック! たくさんの人を噛み殺します。
12/12(木)~16(月) 山崎彬
(悪い芝居) 京都を拠点に東京でも人気沸騰中の劇団、『悪い芝居』の主宰にして看板俳優の伊達男!
12/18(水)~20(金) 原西忠佑
(フリー) 劇都・仙台の若手実力派筆頭株! 昨年のDCPOP『完全版・人間失格』では青山円形劇場で主演として活躍。
12/21(土)~23(月) 井上みなみ
(青年団) 天才女優の呼び名も高い、若干19歳の青年団若手ホープ! ほっそい体に秘められた確かな技術と情熱は必見。
12/24(火)~27(金) 芝原弘
(黒色綺譚カナリア派) 異色のネオアングラ劇団・黒色綺譚カナリア派の黒一点! ガチムチから女役まで手加減抜きに熱演する熱血漢。
12/28(土)~31(火) 広田淳一
(アマヤドリ) 人気劇団「アマヤドリ」の主宰・作・演出が俳優出演! 滅多に披露されない俳優ポテンシャルを見逃すな!
アクセス
シアター風姿花伝
〒161-0032 東京都新宿区中落合2-1-10 カネモビル目白西
TEL.03-3954-3355 / FAX.03-6908-3055
JR山手線「目白駅」より 徒歩18分
西武池袋線「椎名町駅」より 徒歩6分
西武新宿線「下落合駅」より 徒歩8分
都営大江戸線「落合南長崎駅」より 徒歩10分
シアター風姿花伝10周年プロジェクト「プロミシング・カンパニー」とは
今年オープン10周年を迎えるシアター風姿花伝が新たに劇場側から発信していくプロジェクトの一つ。将来有望かつ良質な舞台を提供しているカンパニーを劇場が選出し、一年間「プロミシング・カンパニー」として、1カ月間に及ぶロングラン公演を初めとした様々なサポートを行います。