おーい、シラノの初日が開けたよ。
今回こそは無理かと思った。
演出席からの風景。まー、もう、コロナでメタメタにやられて、思うように稽古が進まず、本当に全員揃って通せたのは本番直前。おまけにこのボリュームと内容。くじけず毎日頑張っていたが、「これは俺の手に余る」と思うようなことも次々起きて、しかし「諦めなければ必ずできる」と毎日死ぬほど働いてたら、なんとか初日が開けた。
働きすぎは良くない。ワーク・ライフ・バランス。それは大事だ。社会的に、そういう声は大きくしていくべきだ。しかし僕は、僕自身の判断で、最後まで自分の理想や芸術のためにあがきたい。僕は小劇場の叩き上げの人間だ。誰かが良くしてくれる、なんとかしてくれるなんて全く思ってない。自分でやるしかない。そうでなけりゃ自分の作品も芸術も、良くならない。
配られたカードで勝負するしかないのさ。スヌーピーが言ってたな。
こんなできごともあった。パンフレットに台詞無許可で載っちゃう問題。初日間際で精神がグギギとなっている最中のことだったので、大きな打撃として僕の精神に伸し掛かった。
https://www.cyrano.jp/article/13
正式に抗議をしたが、これは怒りもあるけれど、「言わなくちゃ」という使命感のようなものもあった。台詞や歌詞をパンフレットに載せるのはよくあることだし、完全な善意から成されたことだ。僕もこういう趣向は嫌いじゃないし、こういうことにしようと考えた作り手の思いには打たれる。
ただ、それにあたって一言お断りが必要だったんだよということだけ伝えたかった。なら内々で話せばいいじゃないか、という人もいるだろうが、そうではない。内々で済ませてしまうと、この座組にいない人たちの中では台詞=フリー素材になってしまう。知らなかったのは罪ではないし、僕も全く恨んでいない。ただ、下手したら回収騒ぎなんだよ、ということを、……今回の担当者に伝えたかったというのではなく、この先に続く若者や観客に伝えたかったという思いが強かった。
ゴーチの担当者全員が非常に前向きに、快くこの問題には対応してくれたので、そこは本当に感謝している。実際上記エントリーも、いろんな人がゴーチの対応含めて称賛してくれている。伊藤達哉はやはりこういうときにきちんと筋を通す人だ。だから信頼できるし、彼のもとに集ったスタッフもやはり信頼できる。
なんてことやりながら王子に入り、1日12時間稽古という異常なスケジュールが始まった。『プルーフ/証明』。頑張ります。必ずいい公演にします。会話劇の最高峰なんて言ってるくらいだからね。
メビウスの輪、韓国、リーディング上演。超面白かった。