「もし東京に空襲が来たら」という空想に基づき、岸田國士が1933年に書いたラジオドラマ。実際に東京に空襲の来る10年前である。クレプシードラ社提供による最先端の空間音響技術を用いて、立体的な音像で収録しました。
東京、山手の時計商・酒井欽蔵は、空襲が来るとされる夜、灯火管制の中でも手仕事を続けている。ふてくれたように寝ていた息子・鉄蔵は父親と「戦争の意義」に関する口論を交わした後、毒ガス班として出動していくが……。
鉄蔵 文明人なら文明人らしい戦争をしたらよささうなもんぢやないか。抵抗力のない女子供を、空の上からおどかすなんて、全く、強盗か野蛮人の仕業だよ。
欽蔵 戦争が好きだとか嫌ひだとか云つてみたところではじまらねえ。だからよ。どうしても戦争をしなけれやならんと云ふんなら、勝つよりほかに道はあるめえ。
『空の悪魔』より
音像確認用ダイジェスト
「空間音響」を感じるため、イヤホンまたはヘッドフォンでのご視聴をおすすめします。イヤホンまたはヘッドフォンで聞くと、音像が立体的に聞こえます。
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